複雑時計開発工房ルノー・エ・パピでも腕を磨いたスピーク・マリンが、本格的に独立時計師として活動し始めたブランド初期の貴重な一本です。がっちりと男らしい外観ながら、精緻に磨き込まれシャープに研ぎ澄まされたエッジのケースは、ピカデリーケースと呼ばれ現在も継承される同ブランドのアイコンとなっています。また真正ポーセリンの濡れたような光沢を持つ文字盤、一本一本手間をかけて作り上げた青焼きの針が見せるコントラストは素晴らしいの一言。まさにクラシックと言えるサーペント・ハンドのデイト表示は見応えがあります。風防に対してのクリアランスも際々まで詰められており、現代の時計では他に類のないビジュアルです。文字盤にしても針にしても、制作に当たっての歩留まりは大量生産のメジャーブランドでは考えられない低さだろうと想像します。スイス独立系はけっこうな数の時計を目にしてきましたが、とにかく手間・コストのかかり方はトップクラスでしょう。また、それがストレートに本作品の魅力になっています。あくまで古典に範を求めた意匠は、この異常なまでの（笑）こだわり方をもってして「古典を超えたもの」になっている感さえあります。ムーブメントはFW2012 記念すべき第一作の”ファウンデーション・ウォッチ”の仕上げを踏襲したもので、ローターはトゥールビヨンケージを模したデザインになっています。5姿勢の差が10秒以内、日差+2～+6秒に調整。巻き上がりもスムーズです。最初期のピカデリーシリーズ、制作本数は各モデル何十本という単位と思われます。ケースバックに固有ナンバー刻印ありますが、画像では消してあります（この個体は一桁Noです）。スピーク・マリン氏はすでにブランドを離れ、またスピークマリンのブランドは現在も存在しますが作風が大きく異なってきてしまっております。残念ながらもうこのような傑作が世に出る事はないのかもしれません。時計マニアからの評価の高さは言わずもがなですが、ある意味投機対象としてもかなり魅力的な物であると思います。時計本体（純正本革クロコストラップ・純正尾錠）外箱純正木製BOXカレンダー・プッシュボタンのコレクター（金属棒）代理店用意の説明書（ギャランティは付属しませんが、日本における代理店は一つなのでOH等ははそちら「銀座 シェルマン」にて受けられます）ケース径38mm 自動巻3針+ポインターデイトswiss madeコンディションは画像でご覧頂ける様にかなりの美品です。気になるようなケースのスレや小キズは見当たりません。着用回数は今までに数回という感じですが、ストラップは保管による巻きグセが付いています。今回、着用する機会が少ないため思い切って出品してみました。現状海外から数件引き合いがあり、また気が変わって早期に取り下げる事もあり得ますので、気になった方はお早めのご決断をお勧め致します。